5月にクライマックスを迎えた『射雕英雄伝』。当初はもともと武侠映画などに興味を持っていた方が中心でしたが、話数が進むにしたがって途中から観始めて嵌った方が増えているようです。これも皆様の口コミによるものが非常に大きく大変感謝しております。10月にリピート放送を行いますので、もう一度見たいという方は、今しばらくお待ち下さい。
6月より放送中の『天龍八部』も中盤を向え、さらに盛り上がりを見せております(「射雕英雄伝」に比べると、少々どぎつい個所も多いのですが…)。金庸の長編小説では最高傑作とも言われている作品で、射雕英雄伝と同じく中国では年末年始の特別番組として制作されました。(なお『射雕英雄伝』は、射雕三部作の第一部ですが、続編の『神雕剣侠(神雕侠侶)』は、今年の年末に中国本土で放送のため現在制作中です)。
射雕英雄伝をご覧になられた方は、ある程度お分かりかもしれませんが、今回の『天龍八部』も日本のTVドラマでは考えられないような部分が多々あります。
その1:とにかく豪華
最近ではNHK大河ドラマでさえ、あまり豪華なセットを造らなくなって来ています。しかし、中国では1本のドラマ制作の為に巨大なセットを制作しています。『射雕英雄伝』でも桃花島にセットが組まれましたが(7月に桃花島ツアーがあります)、『天龍八部』では雲南大理に20億円をかけて街一つ分のオープンセットが建造されました。しかも、人件費の安い中国なので、エキストラの人数なども日本とは桁違いです。
その2:とにかくブチ切り
1話ごとの終わり方が、日本のドラマに慣れた方にはかなり乱暴に思えるかもしれません。日本ドラマなら「ああ、そろそろエンディングなんだなぁ」という雰囲気のシーンを持たせてから終わるのですが、中国ドラマは、重要な伏線があろうとなかろうと、「はい、ここまで。時間です」といった感じで、ブチっと終わります。最初は戸惑いますが、これが逆に「早く続きを見せてくれぇ」といった中毒感にも似た感情に変わって行きます。
その3:とにかく大風呂敷
もともと原作は新聞での連載小説だったため、話はどんどん壮大に広がっていきます。それに合わせて登場人物や人間関係もどんどん大風呂敷になってきます。主人公や周りの人々もどんどん強くなり、場合によっては当初登場した強そうな登場人物が最後のほうでは雑魚キャラレベルになってしまうことも(笑)。そしてラスト近くでは広げた大風呂敷を一気にたたんで行くため、場合によってはちょっと無理矢理になることもあります。この大風呂敷さは、日本の週刊マンガ雑誌の大人気連載作品の終わり方にも共通するところがありますね。
その4:とにかく『内功』で説明できます
大●教授の『プラ●マ』ではありませんが、武侠小説の世界「江湖」では、現実離れした技のことごとくが『内功』で説明されます。気功とも言われるもので、呼吸や血流などを鍛錬して体内の気(内力)を自在に操ることで、剣をも弾く肉体や、離れている相手を吹き飛ばす攻撃力、あるいは病気や怪我などの治癒もできることになっています。また、例えば『天龍八部』の第1話に登場する悪人・悪貫満盈は口も足も動かないにも関わらず、内功によって喋ったり、跳躍することができるとされています。
逆に、内力を封印するような技(これもまた内功による攻撃)もあり、その場合、内力が元に戻るまでほとんど動くことすらままならなくなったりもします。
その5:とにかく無問題
豪勢なセットやシナリオなど、一方では高度なレベルとなっている中華ドラマですが、逆に一方ではアラが目立つことも確か。ハリウッドを凌ぐCGが使われた次のシーンでは、どうみても縫いぐるみにしか見えない動物がでてきたり、以前のシーンと若干の矛盾があったりすることも多々有ります。
どうやら「細かいところは気にしない」というのが、根底にあるようです。なので、もしそんなシーンを見つけても、ツッコミを入れる程度にとどめて、あまり気にしないで単純に楽しんでみてください。
ちなみに、こういった細かいアラをあえて強調したり、先の内功をとにかくど派手にしていくと、チャウ・シンチー監督作品のような、カンフーアクションコメディに結びついていきます。
その6:とにかく金庸は有名
「金庸小説を読んでいない中国人はモグリ」といわれるほど、金庸文学は中国人に浸透しています。そのため、金庸原作のドラマは「原作を既に読んでいる」ことを前提に製作されていることが多いです。ドラマだけを観ていると、稀に話の辻褄が理解しにくい部分がありますが、それは大抵の場合、「原作に書いてあることを省略している」のが原因であったりします。
また、今回のチャンネルNECO放送版の「天龍八部」では、エンディング映像をオリジナル映像のものに差し替えております。というのも、本国版のエンディングでは大きなネタバレが堂々と流れているのです。これも本国ではドラマの視聴者が原作で結末を知っているために、製作者側も気にしていないのでしょう(本国版エンディングはDVDに収録されています)。
こういった、中国ドラマならではの独特の雰囲気を頭の片隅において、『天龍八部』を是非お楽しみ下さい。
- 最近では韓流に続くブームの兆しとして華流の1系統である台流スター「F4」の来日がワイドショーなどで取り上げられるなど華流自身の知名度も向上してきています(台流とは、台湾で大ヒットしたスターが出演するドラマを言いますが、例えば台湾小四天王のジミー・リンが『天龍八部』に主演し、台湾での史上最高視聴率を獲得するなど、華流との結びつきは大きいです)。
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