武侠ドラマ23「大旗英雄伝」の楽しみ方
2007年8月より、古龍原作「大旗英雄伝」の本放送がスタートします。これまで特別企画で放送していた武侠ドラマをご覧いただいていた方は、武侠ドラマ独特のパターンについては説明不要かと思いますが、今回からご覧になられる「武侠初心者」の皆様は、日本のTVドラマとの大きな違いに困惑されることが予想できますので、ここで改めて「中国武侠ドラマ」とは、どういうものなのか、簡単にご説明します(過去掲載分の改定再録です・武侠用語についての解説もご覧下さい)。
その1:とにかく豪華
最近ではNHK大河ドラマでさえ、あまり豪華なセットを造らなくなって来ています。しかし、中国では1本のドラマ制作の為に巨大なセットを制作、スタッフやキャスト、エキストラなどに多数の人々を動員するなど、そのスケールはけた違いです。
その2:とにかくブチ切り
1話ごとの終わり方が、日本のドラマに慣れた方にはかなり乱暴に思えるかもしれません。日本ドラマなら「ああ、そろそろエンディングなんだなぁ」という雰囲気のシーンを持たせてから終わるのですが、中国ドラマは、重要な伏線があろうとなかろうと、「はい、ここまで。時間です」といった感じで、ブチっと終わります。最初は戸惑いますが、これが逆に「早く続きを見せてくれぇ」といった中毒感にも似た感情に変わって行きます。
その3:とにかく大風呂敷
これまで放送した金庸原作のドラマもそうでしたが、「大旗英雄伝」でも、話はどんどん広がって行きます。この大風呂敷さは、日本の週刊マンガ雑誌の大人気連載作品の終わり方にも共通するところがあります。なお、今回の大旗英雄伝では、原作が未完のまま終わっています。原作者が広げた大風呂敷を、監督や脚本家がどのように畳んでいくのか、それも一つの楽しみとなります。
その4:とにかく『内功』で説明できます
大●教授の『プラ●マ』ではありませんが、武侠小説の世界「江湖」では、現実離れした技のことごとくが『内功』で説明されます。気功とも言われるもので、呼吸や血流などを鍛錬して体内の気(内力)を自在に操ることで、剣をも弾く肉体や、離れている相手を吹き飛ばす攻撃力、あるいは病気や怪我などの治癒もできることになっています。逆に、内力を封印するような技(これもまた内功による攻撃)もあり、その場合、内力が元に戻るまでほとんど動くことすらままならなくなったりもします。
その5:とにかく無問題
豪勢なセットやシナリオなど、一方では高度なレベルとなっている中華ドラマですが、逆に一方ではアラが目立つことも確か。ハリウッドを凌ぐCGが使われた次のシーンでは、どうみても縫いぐるみにしか見えない動物がでてきたり、以前のシーンと台詞に若干の矛盾があったりすることも多々有ります。
どうやら「細かいところは気にしない」というのが、根底にあるようです。なので、もしそんなシーンを見つけても、ツッコミを入れる程度にとどめて、あまり気にしないで単純に楽しんでみてください。
ちなみに、こういった細かいアラをあえて強調したり、先の内功をとにかくど派手にしていくと、チャウ・シンチー監督作品のような、カンフーアクションコメディに結びついていきます。
その6:とにかく登場人物は個性的
そもそも大風呂敷になっている原作なだけに登場人物が膨大。にもかかわらず、存在感がまったく薄れない個性派キャラクターが集まっています。そんな原作の映像化だけに、美男・美女の若者だけではなく、熱烈なファンが存在するほどのオヤジ、熟女、さらには爺婆に至るまで、周りに大迷惑をかける善人や、なぜか憎めない悪役などの原作の個性をフルに再現できるだけの力量を持った役者たちが、画面上を縦横無尽に飛び回ります。
こういった、中国ドラマならではの独特の雰囲気を頭の片隅において、武侠ドラマの世界を是非お楽しみ下さい。
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